常陸大宮さんちの「ほしいも」
常陸大宮さんちの「ほしいも」
ほしいもってどんな食べ物
ほしいもは、サツマイモを蒸して乾燥させた食べ物です。
乾燥させたといってもカチカチではなく、適度な水分を残しているため、ねっとりとした食感が特徴です。
サツマイモの自然な甘さがほしいもに凝縮され、甘さたっぷり。おやつとしても人気があります。日持ちするため、古くから保存食としても食されていました。
ほしいもへの想い
私たち農業を生業とするものにとって、冬は忍耐の季節です。
常陸大宮市は茨城県といってもすぐ先は東北地方。冬の寒さはとても厳しいものです。
作物が育たないことは仕事がないということで、仕事なくして生きてはいけません。
農業ができない冬の寒さを利用して作るのがほしいもです。
ほしいもは農家の生計を支え、「命」をつないできた食べ物なのです。
常陸大宮さんちのほしいもは、地元の資源を活用して作っています。
原料となるサツマイモは、全て常陸大宮市産。
サツマイモの熟成倉庫は、金鉱山跡地を利用した、一年中定温で保存に適した洞窟。
サツマイモを蒸すのは、常陸大宮市の豊かな森林による薪。
乾燥させるのは完全天日干し。
人工的に温度管理された倉庫も、化石燃料(ガス)による蒸し器も使いません。
昔から使用されている自然資源を使って、昔ながら自然食品として、ほしいもを作っています。
常陸大宮さんちのほしいもに込められているのは「自然の味」と「自然の恵み」を表現すること。
商品の品質はできる限り統一するようお作りしておりますが、乾燥や甘味に違いが出てしまうこともございます。
しかしそれも自然食品であればこそ。
幾つもの私たちの想いを共有しながら食べていただければと思います。
ほしいも作りは茨城県でなぜ盛んなのでしょうか?
茨城県を代表する特産品「ほしいも」。
県内で特にほしいもづくりが盛んなのは海岸線の地域。
海岸線の砂地の土壌はサツマイモの生育に向いていて、海風が吹く環境は乾燥にも適していました。
乾燥させるとき、暖かいとカビが生えやすく、寒すぎると凍り付いてしまいます。
適当な風、適当な気温、乾燥した気候。この3つが揃った茨城県は、まさに絶妙の場所だったのです。
ほしいもの製法
[ 工程1 ] サツマイモを収穫する
[ 工程2 ] キュアリング処理をする
サツマイモは収穫時の傷口から貯蔵中に腐敗していくことがあります。そこで掘り取ったサツマイモを温度を30~33℃、湿度90~95%の条件にして3~4日置きます。すると傷口の表皮下にコルク層ができて自然治癒します。これをキュアリングと言います。
[ 工程3 ] サツマイモを貯蔵熟成する
サツマイモは貯蔵温度が15℃以上に保たれると萌芽(ほうが)して貯蔵養分が減少し、9℃以下では腐りやすい。氷点下では一晩で腐ってしまいます。保存はとても重要な工程です。
またこの貯蔵中にサツマイモの甘味が増します。私たちは最低45日以上の貯蔵をしています。
[ 工程4 ] サツマイモを蒸す
昔ながらのカマとセイロを使って蒸します。カマもセイロもほしいも用の特注サイズです。
[ 工程5 ] 皮を剥く
熱々うちに剥くのがコツです。硬くなって剥きにくくなってしまいます。
[ 工程6 ] スライスする
ピアノ線を張った「つき台」という道具を使ってスライスしていきます。
[ 工程7 ] 乾燥させる
棚に並べて、昔ながらの天日干しでじっくりと。天候や気温に左右されるため管理がとても難しいのですが、このじっくりと干すことが甘味の秘訣です。
[ 工程8 ] 袋詰め、完成
乾燥を終えたほしいもを袋に詰めて完成です。販売時期は12月~2月の3か月間です。
ほしいもの栄養効果
どこかにノスタルジーを感じさせる、ほしいも。
自然食品であることから、子どものおやつやダイエットにも。
その健康効果にも着目してください。
カリウム「高血圧やむくみの改善」
カリウムは身体の中の水分調整を助ける役割があり、ナトリウムや余計な水分を体外へと排出してくれます。塩分を取りすぎてしまったり、運動不足によって招かれるむくみを解消する効果が期待できます。
ビタミンE「若返りのビタミン」
ビタミンEが持つ抗酸化作用には、体内の脂質の酸化を防ぐ働きがあり、アンチエイジング効果が期待できます。
また、血行を促す効果もあるので、血行不良によって起こる肩こりや冷え症の改善も期待できます。
鉄分「貧血予防」
特に女性が不足しがちな鉄分。穀類・芋類の中でサツマイモの鉄分含有量は上位。白米の7倍の鉄分がサツマイモには含まれています。
食物繊維「便秘改善」
食物繊維による便秘改善。長い腹持ち効果により、減量にも最適。ほしいもの適度な弾力のため、食べる際は噛む回数が多くなります。ゆっくり、そしてしっかりと噛むことで満腹中枢が刺激されます。
低GI食品「血糖値がゆるかに上昇」
GI(グルセミック・インデックス)とは食後血糖値の上昇の度合いを示す指標であり、55以下の食品は低GI食品とされています。
この数値が低ければ低いほど血糖値の上昇が穏やかで、インシュリンの分泌を抑えることができます。
ほしいもはGI値が55くらいなのです。ちなみに白米が84、じゃがいもが90なので、55はとても低い数値。ほしいもも血糖値のが緩やかに上昇するので、太りにくい食べ物なのです。
血糖値の急激な上昇は身体に脂肪をつきやすくしてしまうため、低GI食品はダイエットにも効果的です。
ほしいもの種類
平干し
よく見かけるほしいもはこの平干し。表面の白い粉は糖分が結晶化したもの。甘く美味しいほしいもの証です。
ストーブの上やオーブントースターでちょっと加熱して食べるのも美味しいですよ。
丸干し
蒸したサツマイモを丸々干したものは丸干しと呼ばれます。平干しに比べ乾燥には2倍以上の期間がかかり、希少で高級です。水分量の多い内側はサツマイモそのものの、粘り気のある食感が楽しめます。