お米の天日干しが残る風景

秋雨の合間を縫って、市内のいたるところで稲刈りが始まりました。

4か月間に渡ったお米作りもいよいよ大詰めです。

毎年「おだがけ」をしている皆川朔さんの田んぼを拝見させていただきました。

 

(2日間に渡る、稲刈り・天日干しの大作業が終わり、笑顔の皆川朔さん)

 

おだがけ

「おだがけ」とは、木材や竹などで柱を作り、横木を掛け、天日干しで稲を乾燥させることです。地域によって呼び名が違うようで、常陸大宮では「おだがけ」と呼ばれています。

 

近年は収穫用農機コンバインで稲刈り・乾燥を行う家が増えており、手間のかかるおだがけは減っています。

 

(雨よけビニールを直す皆川朔さん。雨で稲が重くなると、倒れやすくなってしまうそうです)

 

天日干しと乾燥機の違い

刈り取りしたお米は、水分を多く含み発酵しやすく、乾燥させなければなりません、

乾燥機は水分を8~12時間で落としますが、天日干しは1週間~2週間かけて、ゆっくり落としていきます。

ゆっくりと乾燥させると、お米の美味しさの元となる「粘り・コシ・つや」の澱粉(旨み成分のアミノ酸)が破壊されず美味しくなります。

 

※ 天日干しのお米は美味しい、乾燥機のお米はまずいと言われていますが、実は乾燥機でも低温で乾燥できるものもあり、天日干しの方が必ずしも美味しいとは言えないという人もいます。

 

(作業風景。稲を刈る人、柱を作る人、柱に掛ける人、近所の人が集まっての作業です)

 

天日干しが残る風景

多くの人がコンバインを使って稲刈りをするのは、楽で効率的ということ。

効率を追求するならば、おだがけは必要ないのかもしれません。

 

もし来年、常陸大宮でおだがけをする人がいなくなってしまったら、おだがけを見られなくなってしまったら、どうなるでしょう。

収穫の感動はだいぶ薄れてしまうでしょうし、味気のない秋の訪れの予感がします。

 

苦労を乗り越えてこその感動ということもあるでしょうが、おだがけによる感動は、もっと深いもの。

 

お米は日本人の心であり、おだがけは心の風景。

コンバインで収穫している人も、おだがけが年々減っていくことへの寂しさを感じているはず。

 

効率や便利といったものとは違った価値が、おだがけには存在しているような気がしてなりません。