種苗法と基腐病とサツマイモ

サツマイモ苗の移植作業が、10日ほど前にやっと終わりました。

多くのサツマイモ農家は自分たちで苗を育てています。常陸大宮さんちでも育ててはいますが数が足りず、多くは購入しています。

今年はその苗の入手に少々苦労しまして…。

 

本日は『今年のサツマイモ苗の移植作業は想定外の事態が重なったなぁ』をご紹介します。

 

 

種苗法

 

(圃場1)

 

種苗法とは植物の新品種の創作に対する保護を定めた法律です。実は、その法律が今年の4月から厳格化されたようなのです。

 

『登録品種の自己増殖には、育成者(品種の開発者)の許諾が必要になる』

 

という点がポイントのようでして、これにより、今まで購入していた農家から苗を買えなくなりました。

許諾のOKが出なかった。ということなのだと思います。

 

そして、5月1日に入荷予定だった苗が入荷できないという連絡が、前日の4月30日に来ました。

今まで購入していた農家は、正式な種苗メーカーではなかったようです。すんなり許諾の手続きが完了できなかったと推測されます。

 

仕方ないのでJAに頼むことにしました。

 

 

基腐病(もとぐされびょう)

 

(圃場2)

 

JAに電話をしたところ、どう急いでも入荷が6月上旬になるというのです。

理由も聞きました。

 

「(茨城)県外からの注文がいっぱいで、今年はどこも5月中は出せないとのことです」

 

だそうです。

サツマイモ出荷量日本一の茨城県以外からの注文が多いとはどういうことなのかと思いましたが、すぐに察しはつきました。

 

基腐病です。

 

九州地方で猛威を奮っている基腐病の話は聞いていました。

発病するまで感染しているのか分からず、圃場全体に拡散すると聞いています。

関西以西のサツマイモ農家の注文が、関東へ殺到しているのです。

 

というわけで5月1日に予定していた苗は、結局6月4日に届きました。

 

※ 尚、5日前くらいの話ですが、

「遂に関東(群馬県)で基腐病が発生。茨城県常陸大宮市の小売店で、基腐病が発生した圃場の苗が売られていた」

との報道がありました。

基腐病はもう足元にまで迫っています…。

 

 

新型コロナウイルスとどこか似ている

 

人間社会では新型コロナウイルスが大流行。サツマイモ業界でも基腐病という病気が蔓延。

人間界も農業界も一緒のように思えます。

 

新型コロナウイルスのワクチンでも特許の話で、国家と製薬会社の駆け引きがあります。種苗法もまさに同じ議論です。

 

さてさて、以上のような事態に見舞われていたので、最終的には予定の7~8割くらいの作付けになってしまいましたが、気持ちを切り替えて9月の収獲まで愛でていきたいと思います。